肺の食養生(秋の養生)

2019/11/06 コラムカテゴリ 

  肺の食養生(秋の養生)

~秋は「肺」の養生が大切~

秋の気配を感じ始めた頃から、少し呼吸が楽になったと感じることありませんか?

天気が涼しくなると、暑い夏の息苦しい空気感から解放され、気分も幾分爽やかになってくるでしょう!

秋は、食欲の秋、スポーツの秋とも言われますが、季節の移り変わりは、私たちの心境にも身体にも

変化をおこしてくれるものです。

秋が深まって、日暮れが早くなり、落ち葉が冷たい風に吹かれ、肌寒さも増してくると、無意識でも私たちの中の「悲しい」「寂しい」という感情が引きだされ、感傷的になりやすくなってきます。実りの季節でもあるこの時期に、何気に今年の自分はどんな収穫を得ただろうと一年の総決算をしてみたりしませんか?

このような意味では秋は実績主義の男性がより精神が不安定になりやすいと言われます。

この時季に特に守ってあげたい臓器が「肺」です。肺は「寂しい」・「悲しい」感情が長引いたり

強すぎたりしたときにタメージを受けてしまいます。

中医学では「悲しむと気が消える」と言い、呼吸つまり「気」を司る臓器である肺に影響が出るということです。

中医学での肺は同じく呼吸系統である鼻、肌、体毛、大腸とも連動し、その生理機能を含めた全般を「肺」として捉えられています。

そして「肺」の人格の神は「迫」。肺の気が盛んな人はその声にも、風貌にも迫力を感じさせるものです。一方肺の気が弱っている人は声も小さくその風貌にも覇気が感じられなくなります。

中医学で見ると肺は私たちの身体に対してとても有難い役割を果たしてくれます。

  1. 気(呼吸)を司ります。
  2. 潤い臓器とも言われ、身体の隅々まで水分を届けてくれます。
  3. 「衛気」というエネルギーを体表に送り、邪気の侵入を防いでくれます。
  4. 排便がしやすいように気を降ろし、大腸の動きを助けます。
  5. 酸素を血中に取り入れて、心臓の循環を助け、二酸化炭素を出します。
  6. 食べ物や飲み物のエネルギー代謝に関わります。

肺は「嬌臓」(扱いにくいお嬢様臓器)とも言われます。なぜなら他の臓器と比べて唯一外の空気とつながる肺は一番気温の変化や空気の質を敏感に察知している分、外の邪気の影響も受けやすくなるからです。

空気がどんどん乾燥し、気温も徐々に低くなるこの時季に肺の機能が停滞し、風邪、咳、喘息、喉の痛み、皮膚の乾燥、便秘などの不調を起こしやすくなるので、大切に扱ってあげたいものですね。

具体的にどのように扱ってあげるべきでしょうか?

先ず、肺を一人の人格と考え、その好き嫌いを整理します。

<苦手なもの>

  1. 寒すぎ ②暑すぎ ③乾燥 ④汚れ(空気の汚れ、食べ物のよごれ)

<苦手の反対が好きなもの>

  1. 寒すぎず ②暑すぎず ③潤い ④綺麗が空気・綺麗な食べ物

秋の養生は、肺の養生です。肺の好き嫌いを理解し、生活面で、食事面で気を配ってあげましょう!

<生活面>

  1. 睡眠・・・自然の規律に従い早寝・早起き→睡眠をしっかりとることで、身体に潤い効果をもたらしてくれます。午前3時~5時は肺が一日に必要な水分を配達してくれる時間なので、この時間帯は深い睡眠が必要です。
  2. 運動・・・有酸素運動(激しい運動は避ける)を適切に行うことで、気の流れがスムーズになります。綺麗な空気があるところで運動することが大切です。
  3. 呼吸・・・普段パソコンやスマホを良く見る方は猫背にならないように姿勢に気を付け深呼吸を意識してする。
  4. 感情を整える・・・感傷的になりすぎず、感情を自分自身でコントロールする。

<食事面>

  1. 熱すぎない、冷えすぎない温度でとることが大事
  2. 食べ過ぎ・飲みすぎは肺に負担をかけ、汚れを溜めやすくなるので要注意
  3. ピリ辛食材は発汗作用によって、肺の乾燥を招くので、乾燥が気になる方は控えめに!
  4. 潤い食材を積極的とる。
  5. 過度に冷やす食材や熱を生む食材も要注意!
  6. 発酵食品は、秋の食欲と共に取り入れた味覚の消化を助けてくれますので、お勧め!れんこん、山芋、百合根、梨、松の実、白胡麻、黒ごま、柿、びわ、リンゴ、葡萄などもち米、生姜、胡桃、蜂蜜、鶏肉れんこん、百合根、蓮の実、粟れんこん、松の実、 百合根 へちま 梅 梨 びわ 玄米 エノキ茸 春菊 大根 タマネギ にんにく へちま 金柑 昆布 胡桃 黒胡麻 松の実 アロエ オクラ  しめじ レタス 白菜
  7. <乾燥による便秘の場合、通便をよくする働きがあるもの>
  8. <肺の汚れ→痰が多い場合、化痰の働きのあるもの>
  9. <乾燥による咳の症状が出た場合咳き止め効果がある食材>
  10. <精神を安定させる食材>
  11. <肺を温める食材>
  12. <乾燥が気になる時、喉や肺を潤す食材>

自然の恵みの恩恵に一番預かる、この時季だからこそ、節度ある食べ方が大切かも知れません。

養生の原則は何事についても過不足がないことです

身体の不調は結果で、結果には必ず原因があります。不調が出たら、普段どのようにして原因を作ったかを考えるのが今後の生活の知恵として生かされることでしょう。

「嬌臓」である肺も、好みを知った上で大切に扱ってあげたら、肺の神である「迫」もきっと微笑みをもって私たちに返してくれるでしょう! 声が大きく透き通って、迫力・覇気があるそんな身体を作っていきましょう!